借金の返済が厳しくなったとき、債務整理を検討する人は多いでしょう。
しかし、債務整理には複数の種類があり、それぞれ手続きや費用が異なります。
どの方法が最適かを判断するためには、各手続きの違いを理解し、自分の状況に合った手段を選ぶことが重要です。
この記事では、債務整理の種類ごとの特徴や費用、おすすめの相談先について詳しく解説します。
債務整理にはどんな種類がある?それぞれの手続きの違いと選び方
債務整理には次の4つの方法があり、借金の額や収入の状況、手続きを進める際の予算によって最適な選択肢が異なります。
任意整理|裁判を避けて利息を減らす方法
任意整理とは、裁判所を通さずに債権者と交渉して借金の返済条件を見直す方法で、対象とする債権者を自由に選べます。
借金の元本自体は減りませんが、将来の利息や遅延損害金のカット、および返済期間の延長を交渉することが可能。
費用の目安は、次のとおりです。
弁護士費用:1社あたり2万円~5万円程度
裁判を避けたい場合や、借金の元本は支払えるが利息を減らしたい人、特定の債権者だけ利息カットしたい人に適した方法といえます。
個人再生|住宅を守りながら借金を減額できる制度
個人再生とは、裁判所を通じて借金の大幅な減額をおこなう法的手続きで、すべての債権者が対象となります。
安定した収入がある人が対象で、最大で借金を5分の1程度まで減額できます。
さらに、自己破産とは異なり、自宅を手放さずに済むのも大きなメリット。
費用の目安は、次のとおりです。
- 弁護士費用:30万円~50万円程度
- 予納金(裁判所費用):3万円~5万円程度
借金の総額が多く、一定の収入があるが全額返済は難しい場合に適した方法です。
特定調停|簡易裁判所を利用した話し合いによる解決策
特定調停とは、簡易裁判所の調停委員が仲介して債権者と返済条件を交渉する方法です。
対象とする債権者を選ぶことができるものの、債権者に公平性を保てる範囲での選定が求められます。
任意整理と似ていますが、調停委員が間に入ることで、より公平な話し合いが期待できる点が特徴。
費用の目安は、次のとおりです。
- 自分でやる場合:1社あたり500円~1,000円程度(収入印紙代)
- 弁護士に依頼する場合:20万円~50万円程度
- その他、郵便切手代として数千円
弁護士に依頼せず自分でやると安くなるため、費用を抑えたい人に向いています。
自己破産|借金をゼロにできる最後の手段
自己破産とは、裁判所に申し立てをおこない借金を全額免除(免責)してもらう手続きで、すべての債権者が対象となります。
借金を帳消しにできる一方、持ち家など一定の財産を手放す必要があるため、デメリットも大きい方法といえます。
費用の目安は、次のとおり。
自己破産は、借金の返済がまったくできない場合の最終手段となります。
ギャンブルや浪費が原因の場合は免責不許可事由に該当し、法律上は借金の免除ができない規定になっています。
しかし、債務者の経済的立ち直りができないと自殺や犯罪等に発展するおそれもあるため、実際には反省文の提出等で免責されるケースがほとんどです。
債務整理の依頼先はどこがいい?手続きごとに最適な相談先を解説
債務整理は自分で進めることも可能ですが、専門家に相談すると手続きがスムーズになり、適切なアドバイスを受けることができます。
以下、それぞれの債務整理に適した相談先を紹介します。
任意整理の相談は日本クレジットカウンセリング協会へ
日本クレジットカウンセリング協会は、多重債務者向けの無料相談を提供している機関です。
東京都に本部があり、全国の主要都市にも相談窓口が設置されています。
この協会を利用すると、家計簿をつけて定期的に報告することを条件に、無料で任意整理を進めることが可能です。
弁護士費用をかけずに債務整理をしたい方には、最適な相談先といえるでしょう。
自己破産の手続きなら法テラスがおすすめ
法テラスは、弁護士費用の立替制度を提供している公的機関です。
債務整理については「自己破産」と「任意整理」を扱っており、特に自己破産は一番安く依頼できるのでおすすめ。
自己破産を弁護士事務所に依頼すると20万円~50万円と高額になりがちですが、法テラスを利用することで下記のように費用を大幅に軽減できます。
債権者数 | 着手金 | 実費 | 合計 |
---|---|---|---|
1~10社 | 132,000円 | 23,000円 | 155,000円 |
11~20社 | 154,000円 | 23,000円 | 177,000円 |
21社以上 | 187,000円 | 23,000円 | 210,000円 |
立て替えられた費用は手続き完了後に分割払いができるため、金銭的に余裕がない人でも安心です。
立替制度の利用条件
法テラスの立替制度は、手取りの月収および資産が次の基準以下の場合に利用できます。
世帯人数 | 手取り月収 | 手持ちの資産 |
---|---|---|
1人 | 182,000円(200,200円) | 180万円以下 |
2人 | 251,000円(276,100円) | 250万円以下 |
3人 | 272,000円(299,200円) | 270万円以下 |
4人 | 299,000円(328,900円) | 300万円以下 |
※東京都特別区や大阪市などはカッコ内の金額
あくまで立替制度を利用しないと払えない場合の措置なので、留意しておきましょう。
管財事件の場合は予納金が高額になるので注意
自己破産には、同時廃止と管財事件の2種類があります。
同時廃止は破産手続きの開始と同時に手続きを終了させるもの、管財事件は破産管財人を選任し、財産の調査・換価・配当などの手続きをおこなうものです。
各手続きの適用条件は次のとおりです。
- 同時廃止:債権者に分配する資産がない、免責不許可事由がない、1回目の自己破産である
- 管財事件:債権者に分配できる資産がある、免責不許可事由がある、2回目以降の自己破産である
自己破産をする場合は、弁護士費用以外に裁判所にも「予納金」と呼ばれるお金を支払うことになりますが、これは法テラスの建替制度の対象外です。
予納金の金額は、同時廃止と管財事件で大きく差が出ます。
- 同時廃止:2万円程度
- 管財事件:20万円程度
ギャンブルや浪費などの理由で自己破産をする場合は免責不許可事由に該当し、原則としては管財事件になります。
しかし、真摯な反省の態度を示せば弁護士が同時廃止で済むように裁判所に働きかけてくれることもあるので、まずは相談してみましょう。
自己破産の費用も払えない場合の免除制度
借金を返せないけれど弁護士費用も払えない、もしくは借金の総額が数十万円程度で弁護士費用を考えると割に合わないという方もいることでしょう。
現実問題、返済ができないのに弁護士費用がネックになって自己破産をすることもできず、放置してしまっている方は少なくありません。
しかし、実は法テラスでは収入が少ない場合は自己破産の費用を免除してもらうことが可能。
生活保護、もしくは下記のように生活保護と同程度の手取り月収しかない場合は免除の対象になるので、相談してみましょう。
世帯人数 | 手取り月収 |
---|---|
1人 | 127,400円以下 |
2人 | 175,700円以下 |
3人 | 190,400円以下 |
4人 | 209,300円以下 |
自己破産は「返せない金額」であれば数十万円程度でも手続きが可能なので、免除制度を活用すれば負担なく借金を帳消しにできます。
弁護士・司法書士事務所へ直接依頼する際の注意点と選び方
「個人再生の依頼や、特定調停についての質問をしたい」
「近くに日本クレジットカウンセリング協会や法テラスがない」
このような理由で債務整理を扱っている事務所に直接依頼する場合は、司法書士が良いでしょう。
弁護士事務所よりも司法書士事務所のほうが費用が安くなっています。
アース司法書士事務所なら、債務整理を担当した経験が豊富で、全国どこからでも依頼することが可能。
24時間メールで問い合わせを受け付けており、電話での無料相談もできるのでおすすめです。
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まとめ:債務整理の手続きは信頼できる専門家に相談を
債務整理には任意整理・個人再生・特定調停・自己破産の4つの方法があり、借金の金額や収入状況に応じて最適な手段が異なります。
特に自己破産をすると「人生の終わり」と感じる人も少なくないようですが、実際は多額の借金から解放され、生活を再建するための法的手段。
自己破産をすると信用情報機関に事故情報が登録されるものの、5年から10年程度で解消されます。
自己破産は「終わり」ではなく、むしろ「再出発」のための制度です。
借金の悩みを抱えたまま放置せず、自分に合った解決策を見つけましょう。